【商品開発プロジェクト】福来旗トトと、発売!(2019/11/07)
商品開発について問い合わせをいただいたのは、2017年11月23日のこと。
ある日突然、届いたメールにはこんなことが書かれていました。
『こんぴらさんが海の神様であることでお得意さんに漁師の方が多く 、獲れた魚をいただいたり話を聞く機会が多いことから、私たちは山に住みながらとても海に親しんだ暮らしをしてきました。
この感覚をお土産を通してお客さんに伝えることで、海の神様こんぴらさんの文化を次世代に伝えることができないかと考えました。
漁師さんの高齢化、魚離れ、震災…。海に生きるお得意さんたちの環境は、私たちが知っている限りでもめまぐるしく変わり続けています。
一縷の希望はこんぴらさんの参拝客は年々増えていることなのですが、海の神様であることを知らない方がほとんどなのはさみしい限りです。
そこで、紀の國屋で全国様々な方と一緒に海の恵みを使った商品を開発できたらと思いました。
商品を検討してくださるお客さん方も、私たち家族同様丁寧な暮らしに憧れながらもなかなか一歩が踏み出せない方が多いのではないかとも感じています。
ですので旅先という自分を見つめる場所で、その一歩を試してみようかなと商品を検討してくださっている方に、何かもう少し生活の中で持続可能なものを提供できないかと思っています。
そこでどのような方にご協力いただいたら良いか思い悩んでいたところ、ふんわり糀家さんを見つけて本当に嬉しくなりました。
当初は漁師さんと開発する計画で想像していたのですが、美味しく食べるだけでなく生活に馴染んでいくことを目標にするに は、調理過程を教える専門家の方にご協力いただいたほうが良いのではないかと思ったためです。
そこでいざ自分が習いたいとなると生活に馴染むなら体に優しい方法を教えてくれる方が良いなと、ふんわり糀家さんに大変興味を持ったのです。
つきましては、一緒に商品開発をしていただけないでしょうか?』
(本当は、もっと、この3倍くらいの熱い想いの詰まったメールをいただきました。)
紀の國屋さんとは、こんぴらさんにある老舗のお土産ものやさんです。(上写真:店頭の様子)
そんなお店さんが一体全体どうして私に(教室を初めてまだ1年半くらいの私に)商品開発を頼もうと思ったの!?と開いた口が塞がらないくらい当時、驚きの出来事でした。
「笠原さんは、今後どんどん飛躍されて間違いなくお忙しくなるので、そうなる前にお願いしたいと思ったんです」と仰ってました。
(当時は、身に余る言葉をいただいちゃったなと思ったんですが、現在あながち間違ってないレベルで飛躍している。。。笑)
そんな形でご縁が始まり、ほとんどゼロ(何を作るかも決まっていない状態)から月1ペースでミーティングを重ねてきました。
どんな商品を作りたいのか?
届けたい人は誰なのか?
商品の世界観は?
何の素材を使うのか?
調味料配合と使用感を確かめる試食会
パッケージデザイン、レシピ作成
宣材写真撮影(料理スタイリング)
同封する説明書きや、ウェブの商品紹介文章のチェック
などなど、ゼロから完成までの全ての過程を一緒に考え、悩み、見届けてきました。
ブログ『1年半携わった商品開発のプロジェクトが終わりました』
お仕事を受けた当初は、私と紀の國屋さんだけのミーティングだったのが、商品の方向性が決まった段階くらいから、関わる方がどんどん増えていきました。
アートディレクション/デザイン、プロジェクトマネジメント、フォトグラフィックなど各分野の専門家のみなさまが集まって、一大プロジェクトになっていきました。
商品を開発すると聞いたとき、私はてっきり、「すでにこんな商品を作りたいからレシピについてのアドバイスをいただきたい」くらいのものだと思ってたんです。
でも、蓋を開けてみれば、商品がどうこうよりも、それ以前に膨大な時間を費やして、「どんなものを作りたいか、その方向性や世界観を考え抜く」みたいな、いわゆるコンセプト作りの方が大変だったし、悩みました。
これって、教室運営でも同じだなぁと思ったんです。
例えば、ふんわり糀家の認定講師になりたい!と思った時点で「発酵」を教えることは決定するし、その教え方だけ学んで、レッスン日程組んで、募集して、当日を迎えればOKと思いがちです。
でも、それじゃあ実際にはお客様は集まらない。(商品で言うなら、お客様に売れない)
どんな人に届けたいのか?
発酵を伝えた先に、どんな未来を約束するのか?
数多ある料理教室の中で、(経験が浅い)自分を選んでもらうための付加価値って何なのか?
そういう表立ってお客様に伝えるわけじゃないけれど、自分の教室とはこう!という確固たるものを見出して覚悟を決めないと、自信が湧いてこない。
(自信のない人は、お客様が自分には集まらない!と無意識で自分にブロックをかけてしまうんですね。。)
レシピを考えるとか、レッスンをするとか、表立って「THE・料理教室してます」って感じの部分は、商品開発で言うなら、試食会や商品撮影(スタイリング)とかの部分だと思うんですが、この華々しい部分て全体の5%くらいでしょうか。笑
でも、95%の地味な作業・試行錯誤・紆余曲折を経てたどり着くから、5%の表舞台で輝ける(自信が持てる、自信をもって商品を売れる)んだと思います。
フードアドバイザーとして約2年間関わらせていただき、本当に沢山の気づきがあり、香川県の素晴らしい自然の恵みを商品として世の中に送り出すことが出来たことは、私の人生において一生忘れられないものとなりました。
『福来旗トトと』が、多くの方の手元へ届き、海の神様であるこんぴらさんのお土産として愛されますようにと心から願っています。
商品は店頭の他、オンラインストアでもご購入可能です。
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