「食べたい」という気持ちの尊さ

昨日、やっとの思いで家に帰ってくることができた。

目の前に拡がるいつもと変わらない景色が最高に心地よく、ここが「世界でもっとも安らぐ場所である」いうことを再認識した日。

一体なぜかと言えば...


実は、GWに台湾へ行ってきました。

渡航後すぐにコロナに感染し、8日間の入院生活を余儀なくされたのです。


その間、38〜39℃が続いたことはもちろんのこと

食事が喉を通らないなんてもんじゃなく、首を締め付けられているかのような息苦しさ

肺炎による胸部の圧迫感で息をするのと薬を飲むのがやっと。それだけでもうお腹いっぱい

下半身を中心にリンパ周辺が浮腫んで、ゾウさんみたいな足に...。しゃがむこともまだちょっと辛い...。

8日間ずっと点滴に繋がれっぱなしで、横になると苦しいからまともに眠れない(かと言って上半身を起こしているのもしんどい)


おいしいとか、おいしくない以前に、食べたいという気力さえ湧かないって、なんて虚しいのだろう...。

8日間の間に口にできたものは、驚くほど少なかった。

息も絶え絶え口に運んだ食事が
「味気なく」
「香りもわからなし」
「日本の味じゃないから落ち着かない」

というもどかしさで、食事を見ることさえ気持ちが悪くなりました。

(上の写真はかろうじで3口だけ食べられたごはん。その後は蓋を開ける気力も湧かず...)

息をする
からだを起こす
食事をとる
話す
歩く
寝る

そんな当たり前のことができなくて、しんどくて、苦しくて、もどかしかった...。

普段当たり前すぎて、意識する必要さえないけれど、体の機能が24時間365日休みなく働き続けてくれているから、わたしはこうして平穏に暮らすことができていたのだと痛感した。


「異国の地でこんな状態になっちゃって、ちゃんとわたしは帰れるかな...?」

不安でたまらなかったけど、泣き言を言ったって何も解決しないし、泣いたって症状がよくなるわけじゃない。

「ここは日本じゃない」という怖さがじわじわ襲ってきたけれど、耐えるしかなかった...。


そんな中で、病院との連絡や通訳をしてくれて、精神的にも励まし続けてくれた
ピンチュンさん(@shiang__tsai)の存在がなければ、もうとっくに心は崩壊していたと思う。

有り余るほど長く感じた入院生活の中で、正直サバイバルか監獄生活かと思うようなシーンもあった。トイレに簡易ベットを引いて寝た夜さえある
(死ぬまで使える伝説がまた増えてしまった...。)


でも、国籍を超えた人の温かさや、ふだん目の前に広がっている日常がどれだけ幸せか、ということにもう一度気づくきっかけにもなった。

(菓子パン、ポッキー、卵がゆ。やたら差し入れをくれたお医者さんや看護師さん。英語も通じない人が多かったので、Google翻訳さまさまのコミュニケーション術を身につけた。)


今回の旅に出る前から、ずっとずっとわたしは「健康」が欲しいと願ってきたし、そのための料理を作り続けてきた。

「食べたい」という気持ちはとても尊くて、食べたいものを作れるのは「家」という世界一安らげる場所に暮らしているからで、食べたものを受け止めてくれるこの体があるからこそなのだ。

その全てが奇跡。
奇跡の連続の中で生かされていること。

そんな当たり前のことが、決して当たり前じゃないよってしみじみ教えてもらった旅だった。


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